高齢者虐待防止法とは?大分の女性介護士が業務放棄。施設に改善指導。
年々、全国において
高齢者虐待の件数が増えています。
今回も大分の「茶寿苑」と言う介護施設で、
65歳の女性介護士が、高齢者を裸でトイレに行かせたり、
罵声を浴びせるなどの9件の虐待の事実が浮き彫りになった。
出展 茶寿苑 http://www.sajuen.org/info
当然施設には改善指導がされ、
その介護士は介護業務から外されたという。
ではこういった統計を
取っていなかった頃の状況はどうだろうか?
もしかしたら、
古くから高齢者虐待は
存在していたのかもしれない。
2006年に
「高齢者虐待の防止、高齢者の
養護者に対する支援等に関する法律」、
いわゆる「高齢者虐待防止法」が施行されて、
全国の自治体において、定期的に
虐待の件数がカウントされるようになりました。
出展 7net
http://www.7netshopping.jp/books/detail/-/accd/1102296440
つまりそれまでは、高齢者虐待の
実態把握が全く出来ていなかった事になります。
それはなぜかというと、
「高齢者虐待とは何ぞや?」という
定義が全くされていなかった為です。
スタンダードが示されていない中で、
各々が勝手に高齢者虐待と認定する事は出来ません。
それを定義づけたのが、
この「高齢者虐待防止法」です。
その施行によって、
高齢者虐待とはどういったものか?
という意思統一が図られ、
現在のように高齢者虐待の
件数をカウントする事となりました。
また、高齢者虐待防止法において、
虐待の定義づけや、自治体の
責務の他に、一般市民の責務も規定されています。
それは高齢者虐待に気づいた際の通報義務です。
出展 山口県 長寿社会課
http://www.pref.yamaguchi.lg.jp/cms/a13400/gyakutai/20091126001.html
行政の限られたマンパワーにおいては、
家庭に潜む虐待の実態を把握する事は出来ません。
一戸一戸のお宅を訪ねて
回るような余力は行政にはありません。
そこで高齢者虐待防止法は、
一般市民に対して、
高齢者虐待を察知した場合には、
行政に対して通報する義務を規定しました。
これによって虐待の事実を、
より把握しやすくなったと言えます。
また地域包括支援センターをはじめ、
各機関の連携のもと、各地域において
見回りの体制が組まれる等、年々
高齢者虐待を防止する取り組みが進められています。
出展 神戸市高齢者虐待防止
http://www.city.kobe.lg.jp/information/press/2012/09/20120918132001.html
こうして、統計上の高齢者虐待の
件数はどんどん増えて来ているのですが、
この数字をどう見るか?という事も、
議論の必要があるのではないだろうか?
数字が増したと言う事は、
それだけ虐待が増えてしまったと見るか、
それとも、潜在化していた虐待を
顕在化する事が出来た、これから対処できるぞと見るか。
また、数字が減ったことについても、
虐待が減って良かったと見るか、
それとも虐待が潜在化してしまったと見るか。
結局この辺は、高齢者虐待の
件数が増えようと減ろうと、
行政にとっては何とでも言える部分であり、
どう捉えているのかハッキリ知りたい所です。
何にしても、いかなる理由があろうと、
高齢者に対しての虐待は許される事ではありません。
何故なら誰もが将来は高齢者になるのだから。